「小学校高学年から英語を始めるのは、もう遅いでしょうか?」
英語学習について調べていると、幼児期から英語に触れている子どもたちの話を目にすることがあります。
小さい頃から英語の歌を聞いたり、英語絵本を読んだり、オンライン英会話を続けたり。
そうした家庭を見ると、
「うちは何もしてこなかった」
「今から始めても追いつけないのでは?」
と心配になるかもしれません。
でも、小学校高学年から英語を始めても、決して遅くありません。
もちろん、幼児期から英語に触れてきた子には、長い時間をかけて英語の音や表現を身につけられるというメリットがあります。
一方で、小学校高学年には幼児にはない強みがあります。
日本語を使って物事を理解する力があり、文字を読むことができ、言葉のルールについて考えることもできます。
つまり、年齢が上がったから不利になるだけではなく、その年齢だからこそ使える学び方が増えているのです。
大切なのは、幼児期から英語を始めた子とまったく同じ方法を、今から何年もかけてやり直すことではありません。
小学校高学年という年齢に合った方法で、英語の土台をしっかり育てることです。
この記事では、
小学校高学年から英語を始めるときに大切にしたい学習の考え方と、具体的な進め方
を紹介します。
小学校高学年から英語を始めても遅くない

小学校高学年から英語を始めるとき、まず知っておいてほしいのは、
英語学習には「この年齢を過ぎたら、もう身につかない」という境目があるわけではないということです。
言葉は、年齢に関係なく学ぶことができます。
ただし、年齢によって得意な学び方は変わっていきます。
高学年には幼児とは違う強みがある
幼児は、周囲の言葉を大量に聞きながら、少しずつ意味を推測していきます。
「これはどういう文法なのだろう」と考えるのではなく、何度も聞いたことばを、そのまま状況と結びつけながら覚えていきます。
これは、大量に言葉に触れることを前提とした、自然習得に基づいています。
一方、小学校高学年になると、日本語を使ってかなり複雑なことを考えられるようになっています。
たとえば、
「英語では、主語のあとに動詞がくる」
「過去のことを話すときには動詞の形が変わる」
「この音は日本語にはない」
と説明されたとき、その意味を理解することができます。
文字を使って情報を整理したり、分からないことを自分で確認したりすることもできます。
こうした力は、幼児にはない大きな武器です。
第二言語習得の研究でも、文法規則を理解したり、言葉の仕組みを意識的に学んだりする力は、年齢が上がるほど使いやすくなる傾向があることが分かっています。
そのため、小学校高学年から英語を始める場合は、幼児と同じように英語だけを大量に浴びせるよりも、日本語で短く説明しながら理解を助けるほうが、効率よく進められる場面もあります。
英語は始める年齢にあった学び方が大切
「3歳から始めた子」と「10歳から始めた子」を比べれば、当然、これまで英語に触れてきた時間には大きな差があります。
でも、10歳の子が3歳児と同じペースで英語を学ぶわけではありません。
小学校高学年なら、日本語で説明された内容を理解し、自分で文字を読み、規則を整理しながら学習できます。
そのため、幼児期より短い時間で理解できることもたくさんあります。
大切なのは、「何歳から始めたか」だけを見ることではなく、
「今の年齢で使える力を使って、これからどう英語を積み上げるか」
を考えることです。
小学校高学年の英語は幼児と同じ学び方が効果的とは限らない

幼児期の英語学習では、英語をたくさん聞かせ、英語のまま意味をつかんでいく環境がよく使われます。
これは幼児にとって、とても自然な方法です。
しかし、小学校高学年や中学生になってから英語を始める場合、幼児と同じ方法だけを使うことが、必ずしも一番効率的とは限りません。
小学校高学年の英語学習では日本語フル活用しよう
小学校高学年には、すでに日本語という強い言語があります。
ですから、日本語を英語学習から完全に排除する必要はありません。
たとえば、
I play tennis.He plays tennis.
という2つの英文があったとします。
たくさんの英文を聞きながら、自分で違いに気づくこともできます。
でも、
「主語が he や she のとき、現在形の動詞には基本的に -s がつくよ」
と日本語で説明すれば、短時間で仕組みを理解できます。
高学年や中学生なら、こうした明示的な説明を学習に利用することができます。
日本語を使うことは、英語学習の邪魔になるとは限りません。
むしろ、すでに持っている日本語力を、英語を理解するための近道として使うことができます。
はむ先生オールイングリッシュがよいとされていた時代もありましたが、今は考え方が変わりつつありますね。
高学年の英語学習は理解したあとが大切
ただし、ここには大切な注意点があります。
日本語で理解できたことと、その英語を使えることは同じではありません。
三単現の -s のルールを説明できても、
What does your father do?
と実際に聞かれたとき、すぐに意味が取れないことがあります。
文法問題なら答えられるのに、自分のことを英語で言おうとすると言葉が出てこないこともあります。
だからこそ、
日本語で理解する
↓
英語を聞く
↓
読む
↓
声に出す
↓
自分でも使ってみる
という流れが大切です。
日本語で理解する力と、実際に英語に触れる経験。
どちらか一方ではなく、両方を使って英語力を育てていくのが、高学年からの英語学習には向いています。
小学校高学年の英語はまず土台から育てよう


小学校高学年から英語を始めると、どうしても「中学校に間に合わせなければ」と焦りやすくなります。
中学校の英語や試験を意識して、文字を読んだり書いたりする学習にも目が向きやすくなるでしょう。
- 単語帳で覚える
- 文法問題を解く
- 学校で習う内容を先取りする
もちろん、こうした勉強も必要です。
でも、それだけでは英語の土台が十分に育たないことがあります。
小学校高学年から英語を始める場合、具体的に何から取り組めばよいのでしょうか。
英語は「聞いて分かる」を増やす
学校では、文字を使って英語を学ぶ時間が増えていきます。
しかし、英語は本来、音を持ったことばです。
たとえば、
What are you doing?
という英文を見れば意味が分かるのに、実際に聞くと分からない。
これは珍しいことではありません。
文字から覚えた英語と、実際に聞こえてくる英語が、頭の中でまだ結びついていないからです。
だから高学年から英語を始める場合も、文字だけでなく音声を一緒に使うことを大切にしてほしいと思います。
習った英文を実際に聞く。
聞いた英文を文字で確認する。
この繰り返しによって、「見れば分かる英語」を「聞いても分かる英語」に近づけていきます。
小学校高学年から英語を読む力を育てる
高学年からは、英語を読む力も積極的に育てていきたい時期です。
ただし、最初から難しい長文を読む必要はありません。
大切なのは、今の英語力で無理なく理解できる文章をたくさん読むことです。
短い英文でもかまいません。
音声を聞きながら文字を見る。
内容を確認する。
自分でも読んでみる。
少しずつ英語を読む経験を積み重ねていくことで、単語を一語ずつ日本語に訳さなくても、英文の流れをつかめるようになっていきます。
Oxford Reading Clubなど、音声と英文を一緒に使える多読教材は、高学年から英語を始める場合にも使いやすい教材です。
英語音読は意味を分かってから
英語学習では「音読が大切」とよく言われます。
ただ、意味の分からない英文を何度も声に出すだけでは、十分な効果は期待できません。
まず音声を聞く。
内容を理解する。
英語の音やリズムを真似する。
そのうえで、自分でも読む。
聞く → 分かる → 真似る → 読む
という順番にすると、音読が「英語の文字を声に変える作業」だけではなくなります。
意味と音と文字が、少しずつつながっていきます。
合わせて読みたい記事
小学校高学年から英語を始める場合に、最初に取り組みたいことをさらに詳しく整理しています。
▷ 小学校高学年の英語は何から始める?最初にやりたい3つのこと
小学校高学年の英語は学校の勉強だけで終わらせない


学校で学ぶ英語は、とても大切です。
単語や文法、英文読解など、中学校以降の英語力の土台になる内容がたくさん含まれています。
だから、学校英語を否定する必要はありません。
大切なのは、学校で習った英語を、問題集の中だけで終わらせないことです。
習った英語表現は実際に使ってみる
たとえば、
I went to the park yesterday.
という文を習ったとします。
過去形の問題で went を選べれば、それは一つの力です。
でも、そこで終わらせず、
この英文を聞いて意味が分かるか。
声に出して読めるか。
the park を the library に変えられるか。
自分なら昨日したことを何と言うか。
と少しずつ広げてみます。
I played soccer yesterday.I watched a movie yesterday.
学校で習った一文が、自分のことを伝えるための一文に変わります。
こうした経験を重ねることで、学校で習った知識が、少しずつ使える英語になっていきます。
英会話も少しずつ取り入れる
英語を話す経験も、少しずつ作っていきたいところです。
ただし、英語を始めたばかりの子どもに、最初から自由に会話することを求める必要はありません。
まだ知らない英語をたくさん話そうとすると、負担が大きくなります。
最初は、
- 学校で習った表現を使って答える
- 読んだ本について簡単に話す
- 自分の好きなものについて伝える
など、すでに知っている英語を実際に使う場所として英会話を利用するのがおすすめです。
オンライン英会話も、「英語を教えてもらう場所」と考えるだけではなく、学んだ英語を使ってみる場所として活用できます。
小学校高学年から英語を始めれば中学校の英語にもつながる


小学校高学年から英語の土台を育てておくと、中学校で本格的に英語学習が始まったときにも大きな助けになります。
英文を見れば意味が分かる。でも、同じ英文を聞くと分からない。
こうした「文字では分かるけれど、音では分からない」という状態を減らすことにもつながります。
英語の土台があると中学校で何が変わる?
中学校では、語彙も文法も一気に増えていきます。
このとき、出てくる英語がすべて
「初めて見る、意味の分からない記号」
のように感じると、学習負担は大きくなります。
一方、
「これ、聞いたことがある」
「この表現、前に読んだことがある」
という英語が増えていると、学校での文法学習は、まったく新しいものを覚える作業だけではなくなります。
すでに触れたことのある英語を、文法として整理する学習に近づきます。
これは、中学校以降の英語学習をかなり楽にしてくれます。
試験にもつながる英語力は育てられる
このサイトで大切にしたいのは、
試験のためだけに英語を学ばないこと
です。
でも、それは「試験対策をしない」という意味ではありません。
- 英語を聞いて分かる
- 英文を読んで内容が理解できる
- 単語や文法を使って、自分でも英文を作れる
こうした英語力がしっかり育っていれば、定期試験や入試問題に対応するための土台にもなります。
そして必要な時期になったら、
- 問題形式に慣れる
- 時間配分を練習する
- よく出る問題を確認する
といった試験対策を加えればいいのです。
つまり、
試験対策を積み重ねた結果、英語力がつくことだけを期待するのではなく、まず英語力そのものを育て、その力を試験にも活かす。
この順番を大切にしたいと思っています。
小学校高学年の英語は今からでも十分伸ばせる


幼児期から英語を始めていなかったからといって、焦る必要はありません。
小学校高学年には、すでに育っている日本語力と思考力があります。
日本語を使ったほうが早く理解できることは、分かりやすく理解する。
その一方で、英語を実際に聞き、読み、声に出し、使う経験も増やしていく。
聞く・読む・話す・書くをばらばらにせず、少しずつつなげていくこと。
それが、高学年から英語力を育てていくための大切な考え方です。
早く始めることには、早く始める良さがあります。
でも、高学年から始めるからこそ使える力もあります。
大切なのは、幼児期の学び方をそのまま真似することではありません。
今の年齢に合った方法で、英語の土台をしっかり育てること。
その力は、中学校の英語にも、学校の試験にも、そしてその先で実際に英語を使うときにもつながっていきます。
小学校高学年からでも、英語は十分に伸ばしていけます。



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